カツオのコミックマーケット100(C100)参加道中記
(2022年8月31日更新


2022年8月13〜14日、世界最大の同人誌イベントである「コミックマーケット」の100回記念大会が東京ビッグサイトで開催されました。
 カツオは、日程2日目の8月14日(日)に、サークル「カツオ私設ギャラリー」として、西エリア「ほ」29aにて参加することができました。
 コミックマーケット(コミケ)は、お盆と年末の年2回定期開催されており、カツオも2010年の冬コミ(C80)から毎回参加申請し、落選の回は「委託参加」として盟友サークルに間借りさせていただくなどして、 常に年2回、コミケに参加してきました。
 しかし、2020年の夏コミ以降、新型コロナウイルスの影響で3期にわたって延期、中止が続き、2021年の冬コミでようやく復帰が叶いました。そして今回は実に3年ぶりの「夏コミ」、しかも「100回記念」。 となれば、希代の「コミケ好き」としては、なにがなんでも参加したい!となる訳です。
 不幸な事に、今回の夏コミは新型コロナ・オミクロン株の感染爆発真っ最中ではありましたが、科学的疫学的に考え抜いた自己防御法「カツオ・スペシャル」(詳細はこちら)を駆使して、感染の被害を受けることなく、久しぶりの夏コミを堪能してくる事ができました。
 せっかくの機会ですので、ここにその道中記を残しておこうと思います。






写真 コメント
参加前日の8月13日(土)の午前中に、新幹線で大阪から東京に移動。おりしも、台風が東海・関東に接近中で心配したけれど、結局新幹線は10分遅れ程度で無事品川に到着。

@滋賀県唐橋あたりでは、まだ曇り程度。
A浜名湖あたりで雨雲に突入。これより台風を追い越す。
B静岡ではすごい風雨で、なにがなんだかわからん状態。

結局台風が関東縦断したのはその日の夜で、その頃にはホテルの部屋にいて、ほぼ影響を受けなかった。ラッキー。
東京ビッグサイトまで、りんかい線で10分少々の、大井町駅前の高層ホテルに宿泊。当落発表の直後に速攻で予約したので、利便性のわりにかなり安かった。
自宅に帰るまで、外食や会食は一切しない予定だったので、ホテルのフロントに大荷物を預けてから、チェックイン時刻まで近くのスーパーなどをまわって、テイクアウトの食料を多量に買い込む。
もちろん、これ全部、カツオ一人で食べる。今夜は(一人で)宴(うたげ)じゃぁぁぁ!

実際には、これはこの日の、昼食、夕食、翌日の朝食の3食用。直後の昼食は右写真みたいな感じ。ただし、1kg近いメガ盛り唐揚は、3食に分けて完食した。
特にコミケ当日の朝は、事実上そこで食い溜めして、夜までもたせるで、「朝食バイキング」を希望していたのだけれど、朝食バイキングの設定のある宿にすると、ここよりも3000円近く高くなってしまう事がわかり、 「それだけあれば、一生遊んでスーパーの惣菜が買えるぜ」って事で、こういう食事形態になった。
普段は結構自宅での手作りにこだわっているので、たまのイベントの時などは、むしろこういった「お持ち帰りごはん」がごちそうだったりする。
コロナ感染防御のため、元々外出するつもりはなかったので、外が台風で大荒れだったのはむしろ幸いだった。
前夜は一人前夜祭でたらふく食べて、自室でポケGOしたり(ポケストップやジムがホテルのある商業施設に集中してたので、ポケジムの上で寝てた感じ)、TV見たり、翌日のチェックなどをしたりして、おおむね部屋でゴロゴロしていた。
しかしやはり、コミケ前夜はいまだにワクワクしてしまって、寝付けない。遠足前の小学生かよっ?て状態。
で、寝たのは多分深夜の2時頃で、しかしあまりにもアドレナリンが出過ぎて4時過ぎには起きてしまった。
でもおかげで、お台場・有明方面の朝日を拝むことができた。スキッと台風一過とまではいかないまでも、雨も風も止んでいたので、気持ちも一気に上がった。
その日一日分の食事を早朝から一気に胃に詰め込み、「うるへー、ジェット機だって24時間もありゃあ、治らぁ〜」などとお決まりのネタを一人でカマしながら、ホテルを出発。いざ、東京ビッグサイトへ向かう。
国際展示場駅の地下ホームから長いエスカレーターを昇っていく時に見える、アニメやゲームのポスターや横断幕の列…この時点で「ああ、またコミケに来れた」という感慨に胸が震える。
脳内ではサンダーバードの1号発進シークエンスのBGMが鳴り響いていた。

コロナ以降、一般参加は「早い者勝ち」ではなく、有料の時間予約制になったので、「徹夜組」はほぼ撲滅されている。しかしそれでも最も早い入場時間帯の待機列はかなりの長さに達していたため、東方面に移動が行われていた。
この移動列が、ちょうどサークル参加者の流れと交差してしまうために、数分、踏切のように列の通過を待たなければならなかった。それほどのタイムロスではなかったものの、今後改善の余地はあると思う。
やってきました、8か月ぶりの東京ビッグサイト!
高校野球に春夏連続出場できたみたいに嬉しい。
このあたりから、脳内のBGMがエヴァの「ヤシマ作戦」のテーマに切り替わる。迅速かつ慎重に設営を完了させなければならない。
体温チェック、手指消毒、入場チケットチェック、サークル入場証を手首に巻く作業、を経て、西ブロックに進む。
2022年8月14日7時31分、「カツオ私設ギャラリー」の配置場所である「西ほ29a」に到着。
まさに、この「島」で一番乗り。
だれよりも早くきて、だれよりも遅くまで、1秒でも長く「コミケ」を楽しんでいたい。カツオはそんな感じ。
例えるなら、釣り座は十分あるのに、だれよりも早く防波堤に着きたいタイプ。釣る事以上に、釣り場に1秒でも長く居る事が楽しくて仕方がないというか…。
コミケのお客さまを魚に例えるのは、失礼極まりないが、釣りする人ならわかってもらえるんじゃないかなと。

まず真っ先に、あらかじめ用意していた新刊見本誌を専用封筒に入れて、見本誌窓口に提出。もしクレームがつけば、全作品の頒布が一時差し止めとなるので緊張するが、特に問題なくクリア。
自宅発送の荷物を集積場所に取りに行き、印刷所からの直送分(ブースの足元にあらかじめ届けられている)を開けて内容チェック。
その後は流れるような(?)動きでブースを組み上げ、8時過ぎには設営完了。
今年から「スマホユーザー」になったので、一度やってみたかったこれを、ついに実現。

「設営完了」!
設営作業を急いだのには他にも理由があって、設営完了後一般入場が始まるまでの時間帯に「挨拶回り」をして、お会いしておきたい作家さま、回っておきたいサークル様がいくつかあったからだ。
今回の2日目の配置では、二次創作系の成人向けサークルが東エリアへ、そしてオリジナルを中心とした性癖主体(フェチ、SM、凌辱、女性向け、等)の成人向けサークルは西エリアに配置される傾向のようだった。
したがって、今回どうしてもお会いしたかった、ネット上でしか交流のなかった作家様の数名が東配置となっていたので、東西往来が一時閉鎖される9:30までに、東エリアへのあいさつ回りを済ませておく必要があった。
初めてお会いする方も何人かいたけれど、本当に気の合う方ばかりで、マスク越しの小声でありながら、本当に話が尽きなくて、各所で名残惜しさを感じつつ、巡回した。
当日の「戦利品」は写真のとおり。新刊同士を交換していただいたものもあれば、西エリアのご近所で、開幕後にこそっと買いに行ったものも一緒に掲示している。

10:30一般入場開始。C100二日目のスタートだ。
お客様に混じって、もう20年近くもフェチ活動や創作活動をともにやってきた、盟友たちも遊びに来てくれた。
特にうれしかったのは、「NISHINO SPORTS」の中の人であるMさんの差し入れ。
一瞬「なんじゃこれ?」って感じなのだけれど、よく見ると、われわれの世代にはあまりにも懐かしい「エロ本自販機」のプラモだった(今でも残っている場所もあるらしい)。
この「エロ本自販機」と「白ポスト」が併存する世界線は、なにか「図書館戦争」の様相で、変な郷愁を禁じ得ない。
しかもよく見ると、展示されているエロ本の見本が、全てMさんの手作りのものに差し替えられていて、私の作品や、私が敬愛するもりやねこ先生の作品などもあって、 「こんなのもらったら、もう泣くやろ」っていうくらい嬉しかった。
こういった差し入れやプレゼントは、荷物になるとはいえ、やっぱり嬉しいんですよね〜

今回のコミケで特に嬉しかった事の一つは、これまでかなり低調だった小説本の方を買って下さるお客様が増えていて、「前作が面白かったので、新刊と過去作品を全て下さい」というお客様もいた事。
マンガと違って小説を読むのは大変だし、自分の書いたお話と文章を「面白い」と感じてくれるような波長の合う方とはなかなか出会えないだろう…最初はそんな風に思いながら始めた小説同人誌だった。けれど今回、 迷わず手に取って買って下さった方や、熱のこもった感想や感動を伝えに来て下さった方も複数いて、聞いていて本当に嬉しくて、何度泣いてしまいそうになったかわからないくらいだった。
これだからコミケはやめられない・・・あらためてそう感じた、今回のコミケだった。

ただ一方で、いつも新刊を買いに来て下さる、いわば常連さんの来訪が極端に少なかったようにも感じている。
今回も来て下さった数少ない常連さんの一人にお話を伺うと「実は新刊は書店の通販の方ですでに予約済だったのですが、まだ持っていない既刊がでてないかと思って来てみました」との事。
今回の傾向としては、すでに通販で希望のものをゲットして、コミケへの参加は回避した…という方が多かったのではないかと予測している。

実際、マンガ本の新刊はコミケ当日時点で「とらのあな」「メロンブックス」のいずれもで予約販売分がほぼ完売状態になっていた。そこで気を良くしてコミケ現場にもかなりの数をもちこんだけれど、なんとこちらの方は、新刊としてはカツオ史上最低の売上に終わってしまった。
しかたなく、残部を「とら」「メロン」に追加納品したら、こちらはまた順調に売上を伸ばしている。夏コミが開催されたにもかかわらず、多くの同人誌ファンが有料・抽選・感染リスクという三重苦のイベント現場を敬遠して、通販の方に流れた可能性が大きい。

特に当方のファンは全体的に年齢層が高く、40代後半から50代、60代が中心になっている(もちろん若い層もいるけれど、ことコミケに買いに来て下さる常連さんという視点で見ると、どうしてもカツオと同年代が中心になる)。
仕事、家庭、育児、介護などの関係上、コロナに感染したり、それで仕事を休んだりすることがかなりダメージとして大きい世代の方と、ご自身が高齢者世代の方で構成されると言っていい。
そういった世代の方が、お金には余裕があるとすれば、わざわざコミケの現場に出向くよりも、少し割高でも家までまとめて届けてくれる書店の予約通販を利用したとしても不思議ではないだろう。

この傾向がずっと続くのか、あるいはコロナ解消後に元に戻るのかはわからない。実際に同人誌が読みたい方の手に届くなら、通販でもいいじゃないかという考え方もあるとは思う。
しかし「夏コミ新刊」として多量に作られた同人誌だからこそ、書店の通販で多量に売れた…という事実を忘れてはいけない。あくまで「夏コミ新刊」だから、みんな欲しいと思ったのだ。もし気軽に現場に行けるなら、現場に買いに行きたかった。でも今は難しいので通販で我慢しよう… 多くの方はそういう心理で通販を利用したのではないかと、私は思いたい。
結局は「夏コミ」という舞台があったからこそ多くの作家が新刊を作り、「夏コミ新刊」だからこそ、多くのファンが通販ででも手に入れたいと願った。多くのファンが直接現場に出向く煩雑さと感染リスクを回避したとしても、 じゃあ、夏コミ自体が無くても同人創作は維持されたかといえば、そうではなかったというのが、私の見解だ。難しい状況の中でも工夫して夏コミを開催し、工夫して参加を模索した(私を含む)多くの作家たちが いたからこそ、通販での同人誌活況が実現できたのだと考えている。
そして私は…やっぱり自分の作ったものを、直接手渡しで読みたい人に届けるという「イベント」が大好きだ。
感想や、希望や、時にはクレームなども直接ききながらも、読者やファンの方、あるいは同志や同好の作家様との直接でリアルなアクセス手段をもてる、年数回のイベント参加は、かけがえのない宝物に感じる。

16:00コミケ終了。閉会のアナウンスを聞きながら拍手を送る・・・という儀式を、私は自分のブースではなく、はるかに離れた東7ホールで、ヘトヘトになりながら実施していた。
多量の売れ残りが出たため、一部はとらのあな、メロンブックスの現地引き受け所に持って行ったものの、それでもダンボール3箱分の残部を自宅に返送する必要が生じた。
もちろん、ある程度の返送は織り込み済みだったので、あらかじめ自宅宛のゆうぱっくの送り状なども用意していた。ところが! 前回まであったはずの西エリアのゆうぱっく引き受け所がなくなっていたのだ!
案内でよく確認していなかったのが悪かったが、今回から宅配引き受けは佐川が中心になっていて、ゆうぱっくの引き受け所は、唯一、東エリアの最東端にある東7ホールのみになっていたのだ。
しかし佐川だけは、これまでロクなメにあっていないので、絶対使いたくなかったし、一方で常に迅速丁寧な郵便局には絶大な信頼をおいていた。だから、なにがなんでもゆうぱっくで返送すべく、取っ手がひずむほどの 多量の本をカートに載せて、西エリアから、東エリアの端まで運ばなければならなくなった。
しかも最初は東のどこにあるのかわからず、一度外周に出て、炎天下を人に聞きながら放浪し、ようやく引き受け所にたどりついた時には、もう16時になってしまっていた。
これはキツい。コミケの終盤で、残り少ないHPが一気に削られ、折からの暑さも手伝って、もうヘロヘロのフラフラになってしまった。おそらく今回の遠征での体力消耗の8割は、この時のものだっただろう。軽く地獄やった。
幸い、知り合いがブースで留守番をしてくれていたので、置いてきた荷物を「不審物」として撤去されることはなかったけれど、帰る時間が遅くなってしまった知り合いには、本当に申し訳ない事をしてしまった。

知り合いと別れ、しばらくは体力回復のためにガレリアの隅でへたりこんでいた。夏コミを戦い抜いて、真っ白に燃え尽きて「落ち武者」のようになってうずくまっている一般参加者たちと並んでも、それほど遜色のない見てくれだったに違いない。
しかし、元気を出して大阪に帰らねば。家に帰るまでがコミケ(遠足)だ。歩き出し振り返ったビッグサイトは、青空を背景にとても綺麗だった。死ぬほど疲れたけれど、やり遂げ感と充実感が溢れていた。
「また来るからな!」
心の中でそう告げて、夏コミ会場を後にした。
脳内BGMは、イスカンダルを飛び立って地球への帰路に向かうヤマトのメインテーマ(旧版)だった。


品川駅まで帰ってきた。駅ナカで家族への手土産を買っても、予約した新幹線の時刻までには1時間半近くあった。しかし外食は絶対にしない事にしていたので、早めに新幹線の改札を入って待合室で一人反省会をする事にした。
待合室までの広い通路には、椅子が沢山おかれていた。おそらくはお盆の帰省客用に用意していたものだろう。しかしすでに東京から地方に向かう帰省のピークは過ぎていたので、この時は閑散としていた。
おかげで、だだっ広い通路の隅に点在していた椅子の一つに座って過ごすことができて、ソーシャルディスタンス的にも言う事なしだった。

今回の夏コミのぶっちゃけの「収支報告」を書いておこうと思う。
夏コミ新刊の印刷費は、4作品で計16万円。
参加料、交通費、宿泊費、食費、輸送料、その他雑費の総計は8万円。
計24万円を支出した事になる。

ただし、新刊の印刷に関しては、このイベントだけのための本ではなく、今後のイベントや通販などでも売り上げて、最終的には原価回収+αの見込みなので、印刷費を除外した純粋な「遠征費用」としては約8万円となる。
一方、今回の夏コミでの総売り上げは…恥ずかしながらこの半分。結果、4万前後の赤字が出た事になる。
もし同人誌で生計を立てているとすれば、これほどに割の悪い事業は即座に撤退すべきだろう。しかしこれはあくまで「同人活動」なのだ。楽しみとやる気と新たな創作の「糧」となるイベント。
たった4万円でこんなに楽しめる一泊二日のツアーがあるとすれば、何度でもリピートしたい・・・自分にとっては、コミケとはそういう存在なのだ。


帰りの新幹線は行きよりもさらに閑散としていて、隣も周囲もほぼ空席。咳をする人も喋る人もおらず、安心して爆睡できた。もちろん、ばんそうこうで密封した二重マスクは、着けたままである。
従来であれば、帰りの新幹線は関西から一緒に参加する盟友と共にグリーン車をとって、車内販売のアイスで乾杯するのが通例だった。近い将来、またそんな超楽しいコミケ参加が戻ってくる日を、心から祈っている。

帰宅翌日、急遽実家にお盆の帰省をすることになったので、高齢の親族に会う直前に、あらかじめ用意していた抗原検査を自宅で実施した。結果は陰性。筋肉痛はひどかった(荷物運びのせい)が、咳、熱などの症状もなく、元気そのものだったので 帰省を実施。その後8月末に至るまで、自分、家族、親族に新型コロナの発症、陽性は無い。これをもって、カツオ本人へのC100参加による新型コロナ感染は無かったものと結論づけている。

一方、同じ日にそれぞれ別々のサークルで夏コミに参加した知人の中で、少なくとも二人が二日後の16日に発症し、新型コロナの陽性判定を受けていたことがわかった。
私はコミケ翌朝の検査で陰性だったし、そもそもこのうち一人とは現地では会っておらず、もう一人も挨拶を交わした程度だ。私がうつして回った可能性はほぼないと考えている。
二人とも自主隔離と療養の後に、現在は回復しているので、あえて身元や経緯などは伏せるが、潜伏期間から判断して、ほぼ間違いなくコミケ会場あるいはその前後で感染したものと推測される。
夏コミに参加していた私の知人は10名ほどなので、その中で別々に2人も感染者が出るという事から、かなりの高リスクであったことが予測される。そしてそれだけに、コミケにおける「カツオ・スペシャル」がかなり有効であった という事も言えるかもしれない。
現状の新型コロナ・オミクロン株・BA5による感染は、8月中旬以降着実な減少傾向を示している。しかし、さらなる新株の登場の可能性は十分あるので、 当面は今回と同等の厳重警戒態勢でイベント参加を続ける必要があるだろうと考えている。

―おしまい―

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